志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.122 2010年7月5日 掲載分
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1998年、絵本の読み聞かせ活動を始めて
今年の8月で満12年になります。
その間、童話を書くようになり、
その童話が絵本になり、
ついで絵本も描くようになりました。
実は小学2年を終えるまで
僕は絵を描くのが大好きでした。
小学3年の4月、新しい先生の初めての
図画工作の時間に学校で飼っている
白いウサギを描きはじめました。
まだ戦後3年目で、日本がたいへん
貧しい時代でした。
ミカンの空き箱に竹を細く割ったものを
打ち付けてウサギ小屋にしていました。
狭い小屋の中で白いウサギは寒そうに
うずくまり、じっとしていました。
この日は冬が1日舞い戻ったみたいに
薄ら寒い風が吹いていました。
いつのまにか新しい先生が背後から
僕の描きかけの絵を覗き込み、
「駄目じゃないの、そんな絵を描いちゃ!」
と、大声を上げて叱りました。
「あなた、ウサギを描いているんでしょ。
ウサギの首がなぜキリンみたいに長いの」
さらに、叱られました。
「白いウサギでしょうに。なぜ、わざわざ
黄色く塗るの。でたらめも過ぎるわ]
僕は、窮屈だろう。そんなミカン箱、突き破って
校庭へ飛び出し跳ね回れよ、という思いがあって
キリンのような首にしたのでした。
白い毛皮より黄色いほうが暖かいだろう、と
無意識のうちに黄色く塗っていたのでした。
そのとき先生に叱られて絵を描くことが
大嫌いになりました。
それから数十年経ち、思いがけなく
読み聞かせ活動をやるようになり、
空気のように絵本に接する日々が始まりました。
絵を描きたくなりました。
「まんねんくじら」のストーリーが
頭に浮かんだとき、この絵は自分で描こうと
心に決め、23枚の絵を描き上げました。
以来、「こうしのぼうけん」「はな子、ありがとう」
「とまとくん」「そばにきみがいたから」と
絵本を描いてきました。
そうして、2006年、基本だけでも身につけたい、
と師についてアクリル画を始めました。
絵本を描くのに役立てたいというつもりでしたが、
名をなしておられる画家の方々と二人展、
三人展を催す機会を得、公募展にも出品し
入選するなどして、本気で絵に挑むように
なりました。
僕の絵は観る人から、意味を説明してくれ、
と求められることが多いです。
描きたいように描いているので
わかりづらいのかもしれません。
わかってもらうように描く必要もないし、
上手になろうとも思いません。
ただ、自分の胸のうちにあるものを
ぶつけているだけです。
この6月、水墨画界有数の画家田家阿希雄さんと
二回目の二人展を名古屋のノリタケの森ギャラリー
で開きました。
12点出品しましたが、そのうちの1点は、
これからはこういう方向でいこう、という試みを
込めた作品です。
自分の目は事物を正確にとらえていないのではないか。
もしかしたらほんとうの姿はこうではないか。
そういう思いでまず描いたものが
この「自虐的自画像」です。
現代社会の事物、実相をこのように描いていけたら
嬉しいです。
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