1996年の秋、ぼくはKIBA BOOKという小さな出版社を立ち上げました。そして、KIBABOOKの存在を少しでも多くの人に認知してもらうために、全国各地の書店でサイン会を催すようになりました。ぼくのサイン会には、おとなにまじって子どもも多く集まってきています。ぼくを見にくるだけで、すぐに帰ってしまうのですが、どこのサイン会場でもかならず子どもたちの姿が見られるので、読み聞かせをやってみようかな、という思いが生まれました。
しかし、なかなか実行できずにいたのですが、1998年の10月、福岡県の福岡市の書店で催されたサイン会に子どもたちがいつになく多く集まっていたことにおどろいて、はじめて読み聞かせを行いました。
その最中に、子どもだけでなく、おとなも物語世界に入りこんでいることに気づいて、童話の読み聞かせのすばらしい力を思い知らされ、カルチャーショックを受けました。 読み聞かせをおえたあと、多くの人から心が洗われましたとか、元気がでましたとかの感想が寄せられましたが、じつはぼく自身も心が洗われてとてもすがすがしい気持ちになっていたのです。
ぼくは、その年が明けてから読み聞かせ行脚を開始しました。いまの時代に必要なものは、豊かな心をもつことであり、とりわけ次代を担う立場の子どもたちの心を豊かでのびやかな方向へ起こしていくことが急務だと思ったからです。子どもたちの感受性をバランスよく豊かなものに育てていくことで、その「心起こし」が可能になります。そのための方法として、童話の読み聞かせに優るものはほかにない、とぼくは確信しています。そのことをおとなに、とくにちいさな子を持つ若い親たちにわかってもらいたい、家庭での読み聞かせをどんどんやってほしいという強い願いから、はじめ妻に手伝ってもらいながら、ひとりでやっていた読み聞かせ行脚でしたが、ひとりまたひとりとボランティアメンバーが増えていきました。
そして1999年8月にメンバーが十数人になったので「よい子に読み聞かせ隊」を結成し、本格的な読み聞かせ活動を開始し、今日に至っています。読み聞かせの普及で豊かな心を起こされた子どもたちは、かならずや、未来を明るく豊かな社会に変えていくことでしょう。
講演会 講演 イベント KIBA BOOK 志茂田景樹事務所