うっとりするほど楽しい夢を見たあとは醒めてからが怖い、 /ブログ/読み聞かせ劇場

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.180 2011年9月5日 掲載分
 

うっとりするほど楽しい夢を見たあとは
醒めてからが怖い、


  うんと楽しい夢を見たあとは、
醒めてからおどおどしている、
子どものときに見た、
いまでも鮮やかに覚えている、
宇宙を旅した楽しい夢がある、

白くて長いあごひげを生やした、
仙人のようなおじいさんが、
櫓をこぐちょき船にぼくは乗り、
両手で竹ぼうきをにぎり、
銀河をさかのぼっている、
「さあ、すくってごらん」
おじいさんに言われて、
星が集まっているところを、
竹ぼうきですくいあげると、
小枝のあいだにたくさんの、
星がひっかかったの、
ひっかかるとその前よりも、
キラキラ火花を飛ばすように、
きらめくんだ、
金魚鉢のような魚籠に入れたら、
はねてガラスにあたり、
カチカチカチカチ音を立てたの、
気が遠くなるほど楽しかった、
朝目が覚めたら風が強くて、
やがて雨も降りだして、
昼過ぎには暴風雨になった、
そのころの台風には、
ジエーンとかキャサリンとか、
アメリカの女性の名前が、
ついていて、
屋根瓦が吹き飛ばされる音に、
「すごいヒステリーだな」
と、父がつぶやいた、
台風一過で庭に出ると、
1坪ほどのぼくの花壇が、
屋根瓦で埋まっていた、
マツバボタンが満開だったのに、
楽しい夢は見るもんじゃない、
と悲しかった、

楽しい夢を見て醒めてその日、
もっと楽しいことが起きたことも、
ないわけじゃなかった、
でも、楽しい夢を見ると、
いまでも醒めておどおどするの、

ゆうべ見た夢はひさびさに、
心身ともにしびれたの、
満月の夜、その満月が、
たくさんのスポットから多方向に、
ぽんぽんと花火を打ち上げた、
高く低く美しく広がる花火は、
クレーターから打ち上げられる、
甘露で心を洗われたように、
しびれてしびれてしびれきった、
醒めてとてもおどおどした、
まだよくないことは起こらない、
そして、いいことも。
志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ KIBA BOOK 志茂田景樹事務所
 

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