大手出版社など11社が出資して、 出版デジタル機構が設立された、 すべての出版社を対象に、 電子出版の制作・保存・配信・販売促進など、 を総合的に担うという、 官民ファンドの産業革新機構からも、 150億円の出資を受ける、 出版デジタル機構は、 5年後には100万点を創出し、 2000億円を売り上げる、 という目標を掲げた、 現在、流通中の電子書籍のコンテンツは、 約3万点に過ぎない、 同じく流通している紙の書籍は、 80万〜90万点と言われる、 しかし、絶版、品切れ中のものが、 約半数含まれており、 実質的には50万点あるかないかだろう、 ということは、 絶版、品切れ中のものすべてを入れても、 100万点の創出にはならないのである、 今後の5年間で不足分の10万〜20万点を、 どうするのか、 紙の書籍をそれだけ出版し、 片端から電子化していくとしても、 それだけの点数を確保するのは、 容易でないだろう、 もっと大きな問題がある、 それは半ばに近いものが、 絶版、品切れ中のものの中から、 電子化されるということである、 絶版、品切れ中の書籍は、 売れないから絶版にし、 断裁して品切れにしたものが、 殆どである、 読者は面白くて興味深くて、 読みたいものを欲する、 紙で読むか電子本で読むかは、 それぞれの読者の好みや、 習慣の問題である、 紙の本で絶版や、 断裁して品切れにしたものを、 電子書籍にしたからと言って、 急に読まれるようになるとは思えない、 紙の出版社には、 出版デジタル機構によって、 自社の既刊本を電子化することにより、 コンテンツの囲い込みを図っている、 ところが多いのではなかろうか、 紙の出版規模は年々縮小し、 出版社の多くは、 売り上げの減少を余儀なくされている、 既刊本のすべてを、 電子書籍で囲い込むことによって、 売り上げの減少をカバーできる、 と考えたら甘いかもしれない、 補填、補完の意識では、 これからくるであろう、 電子書籍の大波を受け止めることはできない、 その大波は読者の求めるものは、 紙であろうと電子であろうと、 変わらないという認識から、 電子書籍での書き下ろしや、 初出に全力を注いだ出版社が造る、 意外とその大波は、 電子書籍専門の出版社が、 先駆して寄せてくるかもしれない、 その大波に電子書籍を、 上から目線で見ていた出版社が、 大津波を受けた原発のようにはならない、 という保証はないのである、 現時点から見通す限り、 出版デジタル機構は、 データバンクとしての役割で、 重きをなすかもしれない。
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