舵を取り違えたら電子書籍100万の創出は紙の出版界にとって原発 /ブログ/読み聞かせ劇場

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.211 2012年4月7日 掲載分
 

舵を取り違えたら電子書籍100万の創出は
紙の出版界にとって原発のような
諸刃の剣の導入にならないか

大手出版社など11社が出資して、
出版デジタル機構が設立された、
すべての出版社を対象に、
電子出版の制作・保存・配信・販売促進など、
を総合的に担うという、
官民ファンドの産業革新機構からも、
150億円の出資を受ける、
出版デジタル機構は、
5年後には100万点を創出し、
2000億円を売り上げる、
という目標を掲げた、
現在、流通中の電子書籍のコンテンツは、
約3万点に過ぎない、
同じく流通している紙の書籍は、
80万〜90万点と言われる、
しかし、絶版、品切れ中のものが、
約半数含まれており、
実質的には50万点あるかないかだろう、
ということは、
絶版、品切れ中のものすべてを入れても、
100万点の創出にはならないのである、
今後の5年間で不足分の10万〜20万点を、
どうするのか、
紙の書籍をそれだけ出版し、
片端から電子化していくとしても、
それだけの点数を確保するのは、
容易でないだろう、
もっと大きな問題がある、
それは半ばに近いものが、
絶版、品切れ中のものの中から、
電子化されるということである、
絶版、品切れ中の書籍は、
売れないから絶版にし、
断裁して品切れにしたものが、
殆どである、
読者は面白くて興味深くて、
読みたいものを欲する、
紙で読むか電子本で読むかは、
それぞれの読者の好みや、
習慣の問題である、
紙の本で絶版や、
断裁して品切れにしたものを、
電子書籍にしたからと言って、
急に読まれるようになるとは思えない、
紙の出版社には、
出版デジタル機構によって、
自社の既刊本を電子化することにより、
コンテンツの囲い込みを図っている、
ところが多いのではなかろうか、
紙の出版規模は年々縮小し、
出版社の多くは、
売り上げの減少を余儀なくされている、
既刊本のすべてを、
電子書籍で囲い込むことによって、
売り上げの減少をカバーできる、
と考えたら甘いかもしれない、
補填、補完の意識では、
これからくるであろう、
電子書籍の大波を受け止めることはできない、
その大波は読者の求めるものは、
紙であろうと電子であろうと、
変わらないという認識から、
電子書籍での書き下ろしや、
初出に全力を注いだ出版社が造る、
意外とその大波は、
電子書籍専門の出版社が、
先駆して寄せてくるかもしれない、
その大波に電子書籍を、
上から目線で見ていた出版社が、
大津波を受けた原発のようにはならない、
という保証はないのである、
現時点から見通す限り、
出版デジタル機構は、
データバンクとしての役割で、
重きをなすかもしれない。

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