昔書いた本を書棚から抜き取って、 パラパラめくり、 照れることがある、 漂泊の青春期、 というサブタイトルのついた、 「落ちこぼれた俺の這い上がり方」 という長編のエッセイ本を、 パラパラめくったときは、 高度成長期の余韻が、 残っていた時代の産物だなあ、 と大いに照れながら懐かしかった、 ジャパニーズドリームが、 まだ生きていた、 だから、 こんな恥ずかしいタイトルでも、 売れたんだろう、 どんな時でも人生を悲観しない考え方、 という見出しのついた章の1つを読んでみた、 僕は小説の新人賞を、 7年かけて取っている、 その間、 5回も候補作に挙げられながら、 受賞を逸したのに、 腐らずあきらめず、 ようやく受賞した、 作家を目指し、 新人賞に応募を始めてのは、 29歳のときだった、 すでに結婚していたが、 僕は新人賞への応募を、 青春最後のチャレンジ、 と位置づけていた、 貧しく暗く必死だった、 仕事はほかにいくらもあった時代だった、 青春最後のチャレンジだから、 折れなかった、 受賞したとき、 2児の父親になっていた、 でも、 意識のうえでは独り身であり、 ずっと青春最後のチャレンジで通してきた、 以上が内容だが、 悲観の2字が見出しに入るほど、 凄いところをくぐったわけではないし、 その程度で自画自賛しているようでもあり、 読み返して恥ずかしさが募った、 30年近くも昔に書いたこと、 それでもまた性懲りもなく、 青春をしてみようか、 と背中を押された、 還暦60歳を迎えたとき、 僕は新0歳になった、 今やっと新12歳、 少し速いが、 青春前期のチャレンジを、 始めてみたい。
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