8月29日、 呉を読み聞かせコンサートで訪れた、 開演の夕方まで時間があったので、 主催者の方が、 大和ミュージアムへ案内してくれた、 ここには戦艦大和の10分の1の模型がある、 1度は訪れたいと思っていたところである、 全長26メートルの大和の模型は、 実に精緻で、 迫力に富んでいた、 見ているうちに、 どんどん拡大し、 263メートルの巨大艦になった、 不沈戦艦と謳われ、 大和の勇姿を見れば、 日本が戦争に負けることは、 考えられなかったろう、 実際には見るべき戦果も挙げ得ず、 片道の燃料を積み、 沖縄特攻に赴き、 その途中で撃沈された、 1945年4月7日のことで、 僕が5歳の誕生日を迎えて、 13日めのことだった、 模型ながら見ていると、 海面を割いて進みそうな錯覚にとらわれる、 軍艦マーチが鳴り響いたようだった、 一瞬後、 艦と運命をともにした人々の慟哭が聞こえた、 「俺たちの死を無駄にするな」 そうか、 平和の尊さを訴えるために、 ここに大和がいる、 不沈神話は神話ならず、 神話が崩れるとき、 多くの無辜の人々の生命を奪い、 脅かす、 10分の1の大和は、 別れ際に、 脱原発の叫びを聞かせてくれた、 神話ほど危ういものはない、 と。
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