僕の麻の黄色いマフラーよ、10年前のきみは辛そうで見ていられなかった

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.236 2012年10月15日 掲載分
 

僕の麻の黄色いマフラーよ、
10年前のきみは辛そうで見ていられなかった

すまなかった、
と今でも思う、
僕の身長よりも長いきみを、
僕は10年前、
半袖と長袖のTシャツを重ね着し、
紫のタイツに黄色い短パンをはいて、
きみをざっくり巻いて、
端を風になびかせながら、
街を歩いた、
残暑が終わってまもなくだったかなあ、
奇異に思う視線が、
やたらきみと僕を突き刺してきた、
その意味は、
待ち合わせた人と会ってすぐに解けた、
「なんでそんなマフラーしているの?」
「気分いいんだよ。季節を先取りしているしているようで」
「変だわ、見っともないわ」
そうか、と僕は思った、
初めてタイツ姿で街を歩いたときは、
迫害に近いリアクションで報われたけど、
マフラーでさえそうなんだ、
誰も今の時期はやっていない、
つまり、
異端は駄目ということ、
ごめんね、
タイツのときと違って貫けなかった、
それに、
薄着の僕には、
マフラーはまだきつい陽気だった、
きみを、
邪険に収納庫に突っ込んだよね、
とき移って今は、
まだ残暑のときから、
マフラーを巻いている奴が、
ごろごろ歩いていた、
なぜ巻いてるの、
と訊けば、
「みんなやってるから」
という答が返るだろ、
みんなやってるからやらないと、
安心できない、
人間社会はそんなもんだ、
きみを巻こうと思ったけど、
みんなやってるのに、
なぜやるの、
ともう一人の僕が問うんだ、
そうだ、
と僕は頷く、
みんなと同じなんて、
コピーのようで気持ち悪い。

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