子どもを含む地域の住民の方々もいたが、 階段式の大教室を埋めた人々の大多数は、 学生達だった、 演壇に立った途端、 キラキラ輝く瞳の数に圧倒された、 期待度が大きい、 と直感した、 「読み聞かせ、およびいじめについて」、 と演題にいじめが入っているせいか、 と思った、 去年、 大津いじめ事件が脚光を浴び、 今年は早々に、 高校運動部の顧問教師が、 部員に体罰を加え、 それを苦にした部員が自殺する、 という事件が起きた、 それで、 関心をそそられたのか、 と考えた、 確かに、 いじめに触れた話にも、 熱心に耳を傾けてくれたが、 お目当ては、 読み聞かせの実演だった、 物語の世界に入り込み、 読み聞かせ以外の音声が、 どこか地の底へ沈んでしまった、 ように思えた時間だった、 教師志望者の多い大学として知られたところだが、 読み聞かせに対する関心が、 これほど高いとは。 サイン会では、 あっという間に本が完売になった、 河口湖の書店でバイトしている、 という女子学生は、 「高校教師を志望しているんです。 いつか高校生に読み聞かせをしたいです」 と、熱く語った。 各地の高校で、 僕は読み聞かせを、 講演内容に取り入れてやっている、 時間があれば彼女にその話を、 ゆっくりとしてあげたかった、 大丈夫だな、 と僕は思った、 読み聞かせが大好きな、 小中高の先生が、 いっぱい現れてくれば、 日本の子どもは、 日本は、 大丈夫だ、 と大きく期待を抱いたのである、 都留文科大学の学生たちに、 僕は夢をもらった、 有難う。
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