被災地慰問で、 あちこちの仮設住宅街を訪れた、 何百世帯という大規模なところでも、 ひっそりしている、 洗濯物が風にはためき、 屋内に人がいる気配はあっても、 屋外で人の声が響くのを、 あまり聞いたことがない、 同じ仮設でも、 商店街となると別だった、 たえず人が出入りし、 車が乗りつけ、 店内は、 生活の音と、 人の声に満ちていた、 そういう仮設商店街の1つで、 集会所を会場に読み聞かせを行った、 近くの園から園児たちもきてくれて、 愉快な読み聞かせになった、 ゾウの鳴き声をプルルルルーッ、 とやったら、 ゾウはプワーンと鳴くんだよ、 と突っ込まれた、 終了後、 仮設商店街の裏側を歩いたら、 猫がぽつんと海の方角を見て、 佇んでいた、 寂しげな雰囲気だった、 この赤トラも被災したのかな、 しばらく猫を見て、 僕も佇んだ、 飼い猫かノラかは定かでない、 港町の猫は、 ノラのほうがよく肥えて、 毛並みがつやつやしている、 何だか僕を邪魔臭く思ったのだろう、 あくびをして、 悠然と立ち去った、 その後も、 仮設住宅地区への慰問は続けている、 ひっそりとした雰囲気は、 変わらない、 しかし、 各地の仮設商店街は、 ひところほどの賑わいが見られないという、 被災したスーパーや、 ショッピングモールが、 旧に復して、 活発な商戦を展開しているためもある、 あの猫はどうしたろう、 ゾウはプワーンと鳴くんだよ、 と正してくれた園児は、 元気でやってるかな、 被災地のよい子のみなさん、 今年もどこかで会おうね。
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