声を何度つまらせたことだろう、数百人の老若男女の前でこの絵本を読み聞かせたことを一瞬後悔した

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.268 2013年5月26日 掲載分
 

声を何度つまらせたことだろう、
数百人の老若男女の前で
この絵本を読み聞かせたことを一瞬後悔した

僕は初めて読む絵本は、
いきなり、
読み聞かせの会場で行うことがあります、
その場合は、無論、
内容は読み聞かせの進行に従い、
頭に入ってきて知るわけです、
そのほうが初めて読んだ感動が、
聽いてくれている方々の心にストレートに伝わる、
そう考えるからです、
一昨日の25日、
札幌JC主催の「絆」創造プロジェクト
~絵本がつなぐ地域のキズナ~と題するイベントで、
講演もまじえ、
2つの絵本の読み聞かせくを行いました、
一つ目の「ぞうのこどもがみたゆめ」は、
自作であり、
おそらく1千数百回は読んでいるので、
常のとおりにやってリズミカルに物語れました、
2作目は「ひまわりのおか」でした、
在籍児童数の大半を津波に奪われ、
教職員も10人の方が犠牲になったところが舞台です、
そう言えばお解りの方が多いでしょう、
石巻市立大川小学校のお母さん方が、
海を見下ろせる丘に、
ひまわりの花壇を作ります、
成長して大きな花をつけたひまわりに託して、
我が子に語りかけます、
実話ですもの、
数百人を前に泣いてはいけないと思いましたが、
嗚咽号泣ををこらえるのがやっとでした、
2011年の秋、
僕はモンゴル・ウランバートルの小学校で、
知友のモンゴル人児童作家のダド・シンドクさんとともに、
4年生を対象に絵本の読み聞かせを行いました、
この小学校は日本語教育をやっています、
僕は日本語で「ぞうのこどもをみたゆめ」をやったのですが、
子どもたちが日本人の子どもに劣らぬほどに、
よく理解して聽いてくれたのには、
驚きました、
この学校の児童も含めて、
モンゴルの子どもたちが、
大川小学校の子どもたちに、
励ましの絵と手紙を描き書いてくれました、
大川小学校の悲劇は、
モンゴルでは大きく報道されたため、
子どもたちは特別に関心を寄せていました、
帰国後、
僕はその絵と手紙を、
同じ市内の別の小学校に間借りしていた、
大川小学校に届けました、
そんな経緯も思い起こされて、
泣けて何度も声をつまらせ、
ちゃんとした読み聞かせとは、
言えなくなりました、
これは独りで読んで泣く絵本かも知れない、
いささかの後悔の念も感じながら、
どうにか読み終えることができました、
JCの人が、
「お母さん方はみんな泣いていましたよ」
と、耳打ちしてくれました、
そうか、伝えたいものは、
それなりに伝えることができたんだ、
と少しほっとしました。

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