出版界のパイの減少は、 慢性的に続いている。 一時は天敵視していた電子書籍が、 それほどの強敵にはならない、 と判断すると、 少しでも売り上げの足しにしようと、 遠い昔の既刊本まで、 大わらわで電子書籍化に励みだした。 業界大手の小学館が5期ぶりに、 黒字を記録した。 黒字に転じた、 とは言えない。 なにしろ、 8期連続で減収を記録している中での快挙で、 素直に喜べない。 黒字になった当期でも、 雑誌が前年比3・3%減、 書籍が同8・5%減で、 出版の生命線が由々しくダウンしている。 では何が好調だったのか。 広告収入が同4・5%増、 デジタル収入が同12・0%増、 映像関連が36・6%増、 などが黒字の立役者となった。 広告収入の増加は、 出版界の好不況に関係なく、 他業種の好調が、 出版媒体への出稿増加となったとみる。 デジタルも映像も、 本来の出版業ではない。 つまり、 本来の出版社としての経営は、 マイナス成長ということである、 こういう状況なのに、 小学館に限らず、 大手出版社の社員には、 特に編集部門の人には、 あまり危機感がない。 過去の蓄積が大きいせいなのか。 不思議な業界である。
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