投手を酷使した当時と状況が違うが、昨日、まーくんがときおり見せた仁王の形相に50数年前の西鉄稲尾投手の形相が重なった

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.287 2013年10月28日 掲載分
 

投手を酷使した当時と状況が違うが、
昨日、まーくんがときおり見せた仁王の形相に
50数年前の西鉄稲尾投手の形相が重なった


大学浪人の時代、
僕は受験勉強を放り出した、
鬱々とした毎日だった、
この時期、
生来の体質とかかわる、
慢性の呼吸器病が悪化していた、
その数年前、
かかりつけの医者は、両親に、
「20歳前後までだと思って下さい」
と、引導を渡していた、
その年の3月25日、
僕は18歳になっていた、
1浪で入学すれば2年になる直前に20歳を迎える、
大学に入っても仕方がないではないか、
捨鉢な気持ちになっていた、
自分の通っている予備校には行かなくなり、
高校同期が通っている、
あちこちの予備校を訪れては、
そこの授業に潜り込んで昼寝していた、
放浪の変形だったのかな、
死んじまおうか、
ふっと踏切に飛び込みたくなったこともある、
腹をすかせて入った蕎麦屋で、
日本シリーズの第4戦をやっていた、
巨人が3連勝し、その試合に勝てば、
巨人が優勝する、
誰もが巨人の4連勝を確信していた、
対戦チームの西鉄ライオンズは、
稲尾投手が投げていた、
そのときの僕には、
たんたんと投げているように見えたが、
ときおり、顔に朱が走り、
仁王の形相になった、
えっ、勝ったの、
気がついたときは、
西鉄が勝っていた、
残りの3試合も、
すべて、その蕎麦屋で観戦した、
試合経過は思い出そうとしても、
よく思い出せない、
たんたんと投げる稲尾、
顔に朱を走らせて投げる稲尾、
その2人の稲尾しか残らなかった、
それは1人の稲尾が持つ両輪なのだろう、
気がついたら西鉄は4連勝していた、
たんたんと投げる稲尾に、
何があってもそれがおれの負わされた運命だったら、
受け入れるぞ、といった、
究極の自然体を感じた、
顔に朱を走らせた稲尾に、
ここは何が何でもやらねばならぬ、
という正念場の凄みを感じた、
そういうことか、
と僕の心のなかで何かが頷いた、
その秋から受験勉強を本格的にやり、
第2志望の大学受験には成功した、
大学に入っての僕は、
ボディビル道場に通ったり、
重労働のアルバイトに従事して、
自分の体をいじめた、
それで完全に壊れる体だったら、
それだけのことだったのだから、
仕方がないではないか、
と開き直ったためだ、
結果は丁と出た、
この病気は完治はしない、
しかし、病状を固め、
症状を気にならない程度に軽快させてくれた、
そして、
今日に至っている、
昨日の田中将大投手に、
稲尾に感じたものと同質のものを感じた、
ただ、たんたんという雰囲気はなかった、
押さえ込もう、
といつも正面切っての勝負に出ている、
まーくんは7戦までもつれれば、
あと2戦には投げるに違いない、
きっと、
たんたんとして見える雰囲気も滲ませるだろう、
そうなったら、
楽天の優勝は間違いなしだ。

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