御手洗の浜の住吉神社は、 大阪の住吉神社を模して、 そのミニチュアと言っていい、 今から20年前の1993年、 台風19号によって発生した高潮が、 雪崩を打ってこの浜に押し寄せ、 神社の敷地も道路も道路沿いの家々も水攻めにした、 家々で床上浸水のところは、 家財道具を流されたところが少なくなかった、 100年に1回の高潮と言われた、 幸い避難勧告が早く出されて、 人的被害は皆無だったという、 そのせいか浜近くの豊町公民館は、 作りが頑丈だった、 聴きにきてくれた方々は、 やはり、年配の人が多く、 ミカン農家か、 ミカンの生産に関わっている人が大半だった、 人権がテーマの講演だったが、 小難しい話をしても、 昼間、ミカン畑で働いた疲れは取れない、 肩のこらない話をして大いに笑ってもらった、 温暖で空気が清浄で柑橘類や、 野菜に恵まれ、 海の幸もふんだんにある、 そういう環境で斜面の畑で働く、 長生きの島でしょう、 と訊いたら、 90過ぎでミカン畑で働く人は、 珍しくないらしい、 でも、若い人はみな島を出ていく、 ミカン畑もだんだん少なくなり、 雑木の島が多くなったという、 宿の食堂で1人飲んでいたら、 海人の藻塩のメーカーの人達が、 食堂に隣接する土産物コーナーに入ってきた、 この島で忘年会をやっての帰りらしい、 海人の藻塩を1袋いただいた、 みなさんと写真を撮った、 その後は僕独り、 これがまたいい、 そろそろ食堂も終わりなので、 部屋で飲むことにした、 海人と海へ潜る夢を見た、 どうやら僕は人ではなく、 イルカのようだった、 海人が僕の胴体を抱いてくれた。
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