「可哀想に」から【こんにちは】と身障者の人に声をかけられるように僕を変えたのは読み聞かせ活動だった

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.325 2014年7月22日 掲載分
 

「可哀想に」から【こんにちは】と
身障者の人に声をかけられるように
僕を変えたのは読み聞かせ活動だった


一昨日、
日本小児看護学会の第24回学術集会で、
「子どもと看護師が元気になるカゲキの檄文」と題して、
特別講演を行いました、
タワーホール船堀の大ホールを満席にして、
約1600人の看護師さんが耳を傾けてくれました、
1999年8月に「よい子に読み聞かせ隊」を結成してから、
それまでの講演、イベント活動に、
読み聞かせ活動が加わりました、
幼稚園、保育園、小学校を訪れることが多くなり、
老人養護、介護施設、各種障害者の施設での、
読み聞かせ会開催も増えました、
この日の講演は小児科の看護師さんが対象なので、
難病の子どもや、
障害を持っている子どもに、
読み聞かせを行った体験を通して、
そういう子どもたちが見せる、
キラっと輝くような感受性のシャープさを、
1話、読み聞かせを実演しながら話しましたが、
この講演を終えて、
読み聞かせ活動を続けてきてよかった、
と改めて思い知らされました、
「よい子に読み聞かせ隊」を結成して、
まだ2年目の頃だったでしょうか、
関西方面の身障者施設を訪れました、
重度の身障者の利用者が多いところでした、
車椅子の人に、
何人かベッドに横になって参加された人もいました、
ご家族の方も大勢参加されていました、
1つ目の物語でクライマックスの場面に、
さしかかったときのことです、
突然、絶叫があがりました、
怪鳥の叫びのようでした、
その叫びは断続して2,3回上がりました、
何ごとが起きたのか、
と僕はびっくりしましたが、
心を鎮めて読み聞かせを続けました、
終わって職員の方が、
重度身障者の少年のところへ案内してくれました、
本当は青年だったかもしれません、
彼は叫ぶような口調で、
顔は泣き崩れたような表情で何か言いましたが、
僕にはよく聞きとれませんでした。
「とても喜んでいます。先ほど、
大きな叫び声があがったでしょう。
この人が感極まって号泣したのです」
そうだったのか、
と僕は衝撃を受けながら納得し、
彼が大変不自由な体をくにゃくにゃ動かして、
手を差し伸べてくる気配に、
思わず両手を差し出し、
その手を強く握りしめていました、
突き上げてくるような感動に揺さぶられての、
咄嗟の体の反応でした、
読み聞かせ活動をする前、
街で車椅子に乗っている身障者の人を見ると、
可哀想に、と思いました、
松葉杖を使い、
不自然に四肢を動かしながら、
歩道を歩いてくる人とすれ違うと、
痛ましいと思いました、
目が合うと逸らすこともありました、
可哀想に、
はただの憐憫じゃないですか、
自分は不自由でなくてよかった、
という優越した立場からの傍観に過ぎません、
痛ましい、
は正視に耐えないという感情が入って、
差別の意識ではないですか、
読み聞かせ活動を続けているうちに、
車椅子の身障者と行き合うと、
こんにちは、
と笑顔で声をかけることが多くなりました、
目が合うと、
こちらから握手を求めるようになりました、
「お互い今日も元気でやりましょう」
とか声をかけて、
読み聞かせ活動を始めなかったら、
今でも「可哀想に」だったに違いありません。

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