若者が起こす不条理な犯罪の防止には失われつつある下町社会のよさを取り入れるのも1つの方法ではないか

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志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.351 2015年2月8日 掲載分
 

若者が起こす不条理な犯罪の防止には
失われつつある下町社会のよさを取り入れるのも
1つの方法ではないか


新幹線が走るまでは、
どこへいっても、
町場は下町社会だった、
冠婚葬祭はお互いさまで、
番が回ってきたところを、
向こう三軒両隣が助けあう、
普段から、
ちょっとお醤油貸して、
貰いものの柿だけど、
ハイおすそ分け、
などと些細ながら、
密な人情的な交流があった、
悪さをすれば、
よその子でも拳骨をくれた、
夫婦喧嘩が始まれば、
頃合いを見て年嵩の者が、
その現場へ上がり込んで仲裁した、
その代わりプライバシーはない、
見知らぬ不審者が隣家の様子を窺っていれば、
何の御用ですか、
とすぐ声をかけた、
こういう社会で育った子は、
ヤンチャも多く、
年頃になると無鉄砲もやったが、
非道はせず、
そこそこの年になると、
分別をつけていった、
実は農村でも同じであった、
家同士が密接していない分、
地縁血縁的な相互扶助体制は、
しっかりしていた、
田植えなどを、
順番に助けあった、
屋根の萱の葺き替えも、
順番に総出で行った、
少しでも暮らしよくするために、
1軒1軒の負担を少なくするために、
生活の知恵が生んだ慣習だった、
農村が変容したのは、
耕運機や、
コンバインダーが普及し始めた頃だったろう、
順番に地域の田畑を手伝う必要がなくなった、
家々の建て替えが進み、
冷暖房が当たり前、
手のかからない電化生活になって、
人々は外へ出なくなった、
出ても車で遠出した、
近所で憩うことがなくなり、
隣近所の内側が見えなくなっていった、
下町も同じように変容していった、
お味噌貸して、
と大声を出せば、
取りおいで、
と大声が返ってきたのに、
立て込んでいた家々は、
上へ階数を伸ばして、
密閉型住居になり、
塀囲いもされるようになった、
再開発で大規模集合住宅が進み、
核家族化も加わって、
隣の様子さえ解らなくなった、
空き巣、強盗などの犯罪が増え、
自分の家のことで頭がいっぱいになり、
他家のことに無関心になっていった、
かっての下町を歩いて、
中小のマンションに、
軒並み監視カメラが取りつけられていることに、
愕然としたことがある、
監視カメラ作動中、
と脅しのような表示も目立つ、
和歌山小5刺殺事件の22歳になる容疑者は、
被害者宅と目と鼻の先に自宅があった、
普通に言えば恵まれた家庭だった、
父親は大学教授、
母親は茶道華道を教え、
民生委員をしていた、
2人の姉もそれぞれに立派な人間、
ということである、
両親は厳格だったらしい、
進学や、
就職でそれなりの挫折を味わったようだが、
それと深くは関わっていない、
不可解な感情を爆発させての凶行に思える、
もし、
この容疑者がかっての下町で生まれ、
人情が行きかう環境で育ったら、
その心に闇は生まれなかったのではないか、
かっての下町を再現しようとしても、
それは無理な相談である、
ただ、その下町が持っていたよさを、
今の社会に取り入れていく工夫は、
国の施策の後押しがあれば、
可能だと思うのである。

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