志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.367 2015年6月6日 掲載分
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唐突にお訊きしますが、
時給1,319円は
高いであろうか安いであろうか?
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訊かれた人によって答えは様々だろう。
外食産業のアルバイトや、パートの人達は、
1度、そんな時給で働いてみたい、と羨ましがるかもしれない。
医師の方はバカバカしい時給だ、と一笑に付すかもしれない。
5,6年前の話になるが、
僕の知人の麻酔医は東北地方の総合病院で、
月給計算のバイト医として働いていた。
住まいは東京に置いたままで、
月曜日に通勤し、そのまま金曜日まで宿泊し、
その日の勤務を終えて、夜に帰京した。
月給200万円。
拘束時間は一応7時間と決められていたそうである。
時給にしていくらだろう。
ふと思ったが、面倒だから計算はしなかった。
東北大震災でその病院も被害を受け、
彼は職を失った。
もっとも、麻酔医は払底しており、引く手あまたである。
すぐに東京でれっきとした勤務医になった。
その月給を訊いたことはない。
いろんな保証がつくからバイト医時代の月給よりは低いのだろう。
ところで、1、319円の話。
リクルートジョブスが毎月、行っている
「アルバイト・パート募集時平均時給調査」によれば、
首都圏の2015年3月時のアルバイト・パート塾講師の募集時平均時給は、
1,319円ということである。
多くの人が、えっ、そんなもんなの、と驚くかもしれない。
専門職系で、しかも、常に結果が問われる職で、
楽な仕事ではない。
僕も学生時代、塾講師のバイトをしたことがある。
私鉄沿線の商店街のはずれにあった塾で、
生徒はすべて商店街の子供達だった。
時代は高度成長時代の頂点にさしかかった頃で、
商店は繁忙でお母さん方も、
下校してきたわが子の世話を見切れなかった。
預かってくれただけで感謝された。
はっきり言って成績が上がろうが下がろうが関係なかった。
夏は八百屋のおかみさんが冷えたスイカを差し入れてくれ、
冬は焼き芋屋のおかみさんが焼き芋を届けてくれた。
小学生専門の託児所のようなものであった。
無論、厳しい進学塾はたくさんあったが、
こういう塾が喜ばれもする時代で、のどかだった。
だが、今は違う。
少子化で精鋭塾同士のサバイバル時代で、
結果を出さなければ塾自体が淘汰されるし、
学校での成績順位が下がれば、
保護者からのクレームがくる。
クレームが相次げば心のリズムも崩れる。
うつ気味になって意気消沈しているときに、
経営者から首を申し渡され、
うつ病を発症した塾講師もいる。
精神的負担が大きい激務なのに、
1,319円はあまりにも安いのではないか。
2010年前後の募集時平均時給に比べると、
数百円も下がっている。
これは個別指導教場の増加を反映しているせいもあるが、
集団指導教場は学習塾のあり方の基本である。
私塾界は業界全体の課題として知恵を絞り経営の合理化と、
塾講師の待遇改善に乗り出してほしい。
未来の日本を担う子供達のために。
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