志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.377 2015年8月22日 掲載分
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将来、ボケないために今から初めておくこと
〜1〜若い人ほど自分史を書く価値が高くなる
* 自分史を書いて冷静に自分を振り返りこれからの人生の方向を定める |
80歳で水墨画を始め100歳で油彩の赤絵に挑んだ
現役のお坊さんに104歳でお会いしたときは驚きました。
この人はもともと画家志望でしたが、お寺を継がなければならない
という家庭の事情で断念、僧侶の道に進まれました。
80歳で住職の座は息子さんに譲ったのですが、
僧侶はそのまま続けました。
取材した当時、法要などは息子さん、お孫さんと並んで
3代で営むということでした。
80歳で水墨画を始めたのは、
青春時代に描いた夢を捨てきれないでいたためでした。
自室の壁に飾られていた富士の赤絵は、
100歳丁度のときの作品だそうですが、若さにあふれた
ダイナミックな筆致でした。
取材からしばらく経って、この人から手紙をもらいました。
楷書に近い几帳面な字で書かれていて、
読む人が読みやすいように書いている、とすぐに解りました。
手紙をくれたのは言い忘れたことがあって、
そのことをどうしても知らせたかったためでした。
そのことは手紙の末尾のほうに認められていました。
「…私としては、腹立てず、心は丸く、気は長く、己小さく、
人は大きく〜という古人の言葉を守っていることが
長命の秘訣と思っています」
文中の古人は達磨大師のことです。
取材時に忘れてどうしても知らせたいと気になって、
こうして手紙を書いてくれた、この人の人生は、
長時間取材して僕の頭に充分に入りましたが、
この手紙により画竜点睛のものになりました。
この人の人生、つまり、この人の自分史は、
この人が僕に語ることにより、
104歳になっても充分自分を振り返る結果になりました。
そして、手紙を書くことでその自分史の核になっているものを
改めて強く心に刻み込むことができたのではないでしょうか。
この人は2年後、106歳で他界されましたが、
息を引き取る直前まで新聞に目を通していたそうで、
大往生でした。
自分史は日記と違います。
日記は何度つけ始めても途中で挫折して、
もはや僕にとっては無駄なことになりましたが、
世の中には1日も欠かさずつけている人がいて、
びっくりすると同時に尊敬させられたものです。
日記をつけている人はそのまま続けて、
自分史も書いて下さい。
自分史は思い立ったときで、しかも、自分に苦痛を強いない
程度の長さで結構です。
そして、年若い人ほど自分史は書く価値があるということです。
まだ学生か、社会人になっているかはともかくとして、
20歳の人は進路、恋愛、家族関係など、
様々な悩みを抱えていることが多いものです。
例えば、目指していることがあって努力を傾けているが、
何かの大きな壁にぶつかっているとしましょう。
自分を素直に振り返ると、それに近い経験が鮮やかに思い起こされて、
そのまま挫折したことも、頑張って乗り越えたことも、
昨日のことのように蘇ってきます。
野球のリトルリーグにいたとき、
20打席以上もヒットが出ず、フォームもばらばらになった。
高校野球の人にフォームを見てもらうようになった。
素振りを毎日1000回やった。
28打席目無心にバットを振ったが、
たちまち2ストライクに追い込まれた。
1ボールを見送った後、やはり無心にバットを振った。
快音が響いて球はぐんぐん伸びて3塁打になった。
そうか、あのときはこうだった、
じゃ、焦らず無心に取り組んでみよう、
とそのときに学ぶことで今の壁を乗り越える
契機が生まれるかもしれない。
104歳の人は僕の取材に対応することで、
自分史を書いているときと同じ気持ちになっていたと思います。
普段は意識の底に沈んでいたことが、
取材の過程で不意に表面に浮かび上がってくることがあります。
自分史を書くということはそういうことなのです。
そのことからこれからの自分を充実させる貴い糧が生まれる。
これは素晴らしいことです。
老いも若きも自分史を書くことで、
記憶の引き出しからこぼれていった大事なものを
掬い上げることができるのです。
この半年この1年の自分史でもいい、
思い立ったときに書いてみることです。
書いていくと解りますが多くの他人と関わっている。
人間は1人では生きていけないということが身にしみて、
これからの人生に対し大きな示唆を得られる。
折りにふれ自分史を書くことで貴方の感受性は、
いつまでも貴方を若々しく保ってくれるはずです。 |
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