志茂田景樹-カゲキ隊長のブログ No.388 2015年11月9日掲載分
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オバケを飼っています。
そのオバケとの出会いはこうでした。
そろそろ寒くなってきて、
外出時にマフラーを使いだして2,3日後のことでした。
僕はスチール製の机を2つ使っています。
1つの机にはパソコンを置いています。
もう1つの机は手紙、はがきを書いたり、
何かをメモるときに使っていたつもりですが、
今は雑多なものが収拾がつかない感じでひしめきあっています。
その机の椅子の背もたれにマフラーをかける癖があるのです。
ひと仕事終えパソコンを閉じてそろそろ外出しようと、
その椅子の背もたれを見て、
僕は、あれっ、と呟きました。
去年の冬から気に入っているグリーンのモヘヤのマフラーは、
床へ滑り落ちていました。
それはいいのですが、マフラーの代わりに薄気味悪くて、
とてもとても変なものがかかっていたからです。
かたちは…麦わら帽子がグニャグニャ柔らかくなって、
内側と外側に分かれてダラリと垂れているようでした。
色は透明感がある乳白色で、何だかとても生々しいのです。
(何だろう、こいつは?)
もっと離れたいのに、僕の手はその変なものに近づいていきます。
指先が触れるか触れないかのとき、
その変なものは物音1つたてず椅子の背もたれから飛び上がりました。
ああ、やはり、かたちは麦わら帽子だぞ、と想いました。
色は透明感のある乳白色のままでした。
変なものはつばを波打たせて、ゆらゆらと天井近くまで上昇し、
すぐにゆらゆらと下降してきて僕の目の高さで静止しました。
彼我の距離は1メートルほど。
そのときに僕は初めて山型の帽子部分に眼と口があるのに気づきました。
両目は本当にちっちゃくて、黒ゴマをくっつけたようでした。
口はこれも小さく直径1センチぐらいの二重丸のようでした。
ごくほんのりと紅色でした。
鼻がないのか、と僕は想いました。
すると、鼻があっていいところが盛り上がりました。
団子鼻で、大きさは大豆ほどでした。
「何だい、お前は?」
僕は思わず訊きました。
「普通に言うと」オバケだよ」
二重丸のおちょぼ口をピクピクさせて彼は答えました。
不思議な発音で、耳を通さず澄んだ声が僕の頭の中で響きました。
それが彼との会話の始まりでした。 |
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