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絵本 読み聞かせ旅日記 No69 第89回ポプラワールド
 
ポプラ ワールド ポプラ社 読み聞かせ 日記
(豊かな人生経験が滲み出る【S・T子さんの読み聞かせ】)

日付
2012年3月21日(水)
会場
ポプラワールド
著者

志茂田 景樹 隊長


 
 
  絵本の読み聞かせの世界は奥行きがとても深いです。

  たとえば同じ絵本を使っても読み手によって子供たちの反応は微妙に異なってきます。読み手の個性、声、表情、意識などによって同じ物語でもそれぞれに少しずつ違う世界が生まれます。子供は敏感にそれに反応します。

  今回出演された10数人の方々から数人の方の読み聞かせを例にとって、それぞれの読み聞かせ世界の違いを見てみたいと思います。

  まずはN・Y子さんです。
  頭のてっぺんから鈴の音色のような澄んだ美しい声を出す方です。音域は広く土鈴のように素朴な味わいの声も出せば、風鈴のように楚々として澄み切った声も出すこともできます。ときに新種の鳥のように華やかで遠くまで響き渡る声を放つこともあります。
  子供たちは高音域のその声を楽しみながら、いや導かれるようにしてN・Y子さんの絵本世界に入っていきます。
  怖い怪談の絵本もこの方の世界で染め上げられると、チャーミングな妖精たちの遊ぶ楽園になります。

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K・K子さんは柔らかい声が持ち味です。人柄も柔らかく穏やかで、子供たちにとっては懐が深くてどこまでも受け入れてくれると安心できるのでしょう。みんな寛いでその世界で
過ごすようです。

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 紙芝居おばさんのT・S子さんさり気なく迫力に富んだ擬音を発します。肉声で発する場合と、足を踏み鳴らしたり、手近の物などを使って発する場合があります。また語りに独特の抑揚があって、それが生み出すリズムが物語にメリハリを与えます。
  他の人がやるとたんたんと展開するストーリーでもT・S子さんがやると実に波乱万丈の世界になり、子供たちを、特に男の子を熱狂させます。
  昔話や、どんでん返しのある物語はこの方の持ち味を最高に引き出します。

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さて、僕ですが、歌のS・J子さんに手伝ってもらい、大型絵本をやっているところです。
  何か背中を見せて変な格好です。
  ああ、思い出しました。えっ、ここ、どんな場面だっけ、と文をのぞきこんでいるところでした。

  (だめじゃないの! 子供たち、しらけちゃうわよ)

  お叱りの声を聞いたような気がしてひたすら恐縮!!

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