うららかな花見日よりの4月8日(日)、岡山県エッセイストクラブは、岡山市北区で開かれた創立10周年記念講演会に志茂田景樹先生をお迎えし、講演と読み聞かせをしていただきました。
直木賞作家であり、近年は絵本の読み聞かせを精力的に行っている志茂田先生に直接お目にかかれるとあって会員の出席率は高く、会場には80名の「元よい子」(ほんものの「よい子」は1名のみ)が集いました。
「いつもより少し地味目のかっこうでやってまいりました」と、講演の始めに先生が言われると、場内は、一瞬どよめいたあと、笑いに包まれました。
金髪に虹色のメッシュ、熱帯のオウムを思わせる極彩色のボーダー柄のシャツ、サーモンピンクのショートパンツに黒タイツという出で立ちは、私たちの期待どおり、十二分に派手なものでしたから!
志茂田先生が14年前に、絵本を通して子どもに命の大切さを伝えたい、と「よい子に読み聞かせ隊」を結成し、自作の絵本の読み聞かせを始めてから今年3月末日までに実施した回数はすでに1530回。この日は新年度の第1回目に当たりリフレッシュした気分ですと言われ、私たちもうれしくなりました。この日に限らず、先生は、毎回毎回、今というときを、大切にされていらっしゃるのでしょう。
講演のなかで、昨年3月11日の東日本大震災の被災地の慰問や現地での様子を詳細に語ってくださいました。なかでも、栃木県にある福島からの避難所での「ぼく、どうなるんだろう?」という質問に対する答えに窮したという話は、胸に衝きささりました。それでも、たとえわずかでも言葉の力で心を癒せるなら、と読み聞かせに対する思いを新たにされたようです。 |