絵本 読み聞かせ旅日記 No.495
あの夏は どこを彷徨っているのだろう
今、徳島にいる 暖冬のさなかの徳島だ これで6つ7つの徳島を経験した そのうちの2つは 阿波踊りだった
すべての連がかき消えても 辻々で熱気の余韻のように 人群れがさんざめいていた 僕は見物仲間数人と 小さな橋の欄干によって 焼酎を飲んでいた その後の記憶が定かでない 宿舎の所在もわからず 1人彷徨い歩いていた あの夏の小さな橋の夏は 今 どこを彷徨っているのだろう
それから数年後 徳島市の依頼で その夏の阿波踊りの 市の連の先導を務めることになった 男踊りの特訓をした 観衆が埋めた スタジアム前を 第1号の連の30メートルほど前方を 独り踊りながら進んだ 大歓声だけが耳に残っている あのスタジアムの熱気は 今 どこを彷徨っているのだろう
暖冬の徳島で 過ぎゆくことの儚さに浸る
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